物申します!お手柔らかに。
ほとんど全ての各雑誌系サイトの「デジカメレビュー」では、小さなサムネイル画像を
クリックすると、「等倍画像」が開かれる形式になっています。
これが、画質評価の際に「大きな誤解を与えて(受けて)しまっている」ように感じます。
デジカメのCCDは単色(1つの画素では赤青緑のうち1つの諧調しか読み取ることができない)
なので、等倍画像は色が解像されていなく、「ボケボケ画像で当たり前(それが自然)」なんです。
まずは論より証拠で、ノイズも少なくレンズの解像力も高い「一眼レフタイプのデジカメ」の
等倍画像を見てください。(デジカメWatchさんの作例をリンクさせていただきました)
ニコンD200,フジS3pro,フジS5proの「等倍画像」(デジカメWatch)
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2007/02/27/5666.html
(クリックすると別ウィンドウで開きます)
※上のほうの「工事現場」「神社」の写真など。
※大写しの近距離撮影やマクロなどは等倍でも見栄えよく映ります。
キヤノン40Dの「等倍画像」(デジカメWatch)
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2007/09/25/7077.html
ニコンD40の「等倍画像」(デジカメWatch)
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2006/11/30/5143.html
(クリックすると別ウィンドウで開きます)
※「定点撮影(船)」「夜景」の写真など。
※大写しの近距離撮影やマクロなどは等倍でも見栄えよく映ります。
ご覧になってどうでしたか?こんな最上位のデジカメたちでも「等倍画像はボケボケ」なんです。
ボケボケかどうか今一わからなかった方は、上記の一眼デジカメの画像をダウンロードして
縦横50%のサイズに縮小なさってみてください。
※Windows標準の画像表示(jpgをクリック)は縮小方法が荒い(斜めがギザギザになる&
ディテールが歯抜けになる)ので、ギザギザにならないビューワーか、Windowsに付いて
いる「ペイント」を使ってください。下に「ペイント」での縮小方法を記載しておきます。
Windowsに標準で付いている「ペイント」(画像処理ソフト)での縮小方法
1.「ダウンロードした画像ファイル」を右クリックして「編集」を選択(クリック)してください。
そうすると、「ペイント」が立ち上がります。
2.次にキーボードの「Ctrl」キーを押しながら「W」を押します(ペイントのウィンドウ上で)。
そうすると、伸縮の%表示が出るので、水平と垂直の「100%」を
それぞれ「50%」に変更してOKを押してください。以上で完了です。
どうでしょう?グっと、解像された感じの画像に早変わりです。
うちのホームページに掲載している「F50fdの写真(50%縮小)」たちと同様の
「キッチリと色まで解像された写真」になったことと思います。
(蛇足ですが、解像されているとはいえ2D画像なので、ここで弱めのシャープネス処理を
加えると、より「写真」として見やすくなります。※被写体や好みによって様々です)
「論より証拠」で明らかですが、証拠だけでなく論も書いておきます。
RG
GB
通常のデジカメのCCDは、上のように「単色の画素」が「4画素一組」で並んでいます。
(R=赤フィルターの画素,G=緑フィルターの画素,B=青フィルターの画素)
例えば撮影時に、「R」の位置の色を決めるときに「緑や青の情報は全く得られない」ので
「上下左右の画素」の情報を元に「予想して補完」することになります。
空のグラデーションなどは、この「予想して補完」が綺麗に当たるのですが、
重要な「輪郭部分(色の変化が激しい所)」には全く予想が当たらない(予想不可な)ため、
等倍では、「必ず」輪郭の色が解像できずに、ボヤけた表現になります。
※よく、一眼の等倍画像の解説で「シャープネス処理が弱めなのでボヤけた感じになっている」と
解説される場合がありますが、あれは誤りで、「色が解像できていないためにボヤけている」が
正解と思います。その証拠に、50%に縮小すると、シャープネス処理を掛けないでも、
キッチリと解像感が出ます。
※ハニカムCCDも、もう少し複雑ですが基本的な部分は全く同じです。詳しくはgoogleなどで。
こうならないために、単色CCDではなく、フォビオン(1つの画素でフルカラーの情報が得られる)
という素子を使ったデジタルカメラも存在します。フォビオンで撮った画像は、最初から
キッチリと色が解像されています(ただし、万能ではなく、感度面やノイズ処理のしにくさなど
の問題があるようです)。
現在、フォビオンに続く、「1画素でフルカラーの情報が得られる素子」の開発競争は
行われているようで、もしそれが商品化されて普及した場合、今のデジカメのCCDの画素数は、
「水増し表現」として怒られる(「1200万画素(単色)」や、「フルカラー300万画素」等の表記になる?)
のかもしれません。
ですので、画質を追求するならば「今のデジカメのCCDの画素数は4で割って考える」
必要があると感じています。印刷するときに、よく「A4なら600万画素で充分」と言われますが、
それは「質のいい600万画素」での話であって、デジカメ等倍のような
「あまり質の良くない(カラー4倍水増し)600万画素」では、それなりの画質にしかなりません。
これも、論より証拠で、600万画素機(F31等)と1200万画素機(F50等)の写真をA4やA5に印刷
なさって比べてみてください。その解像感の違いは、こだわる人なら歴然(特に風景など)です。
「等倍画像」には「化粧」がしてあるため、画質の判断がしづらい。
最初に書いたように、デジカメのレビューサイト等では、「小さなサムネイルをクリックすると
いきなり等倍画像が開かれる」ので、それを気にしたメーカーさんは「等倍画像」に厚化粧
(強いノイズ除去処理やシャープネス処理)を施します。
そうすると当然ネット上での評判は良くなります。
ですが、その副作用で、実戦となる「印刷」や「縮小表示鑑賞」のときにディテールが失われて
のっぺとりした画質になってしまっているデジカメも少なくないようです。
(私が好みの画質なF50fdでも、「お、化粧してるな…」と感じるシーンも稀にあります)
ですので、等倍でトリミングしたい場合を除いて、「等倍画像での評価は危険」と思います。
「実際に自分が使う用途(L版印刷,A4印刷,PC液晶画面一杯への表示などなど)」での
画質評価をすることが大切だと思います。等倍表示とは真逆な機種もありますので…。
デジカメのレビューサイトも、「等倍画像」の表示の前に、1024x768や1600x1200などの
「よく使う(鑑賞する)サイズ」での画像表示(&評価)をしてくれると有難いと思います。
それこそが実践的な評価で、ユーザーが本当に実用的な画質を選択できる助けになるのでは
ないでしょうか。
それから、画素数が増えて画像が大きくなるほど、「輪郭」の存在する面積も多くなるので
上に書いたように「輪郭の色が解像できないためのボヤケ」が目立つようになります。
画素数が増えると、等倍画像の画質が悪く見える「一番の原因」はこれと思います。
(これは画素ピッチの狭さの問題とは全く関係ありません)
「等倍画像が汚く見えるから駄目!」 「1200万画素なんて意味はない!画素数を減らせ!」
と、高画素に引っ切り無しに反対する方を見かけますが、そういう方がいたら、
このページを見てもらえると幸いです。 (リンクフリーです)
A5(A4の半分)以上の印刷や、ハイビジョンディスプレイ時代になれば、
フルカラー300万画素(単色1200万画素CCD相当)は大きな意味を持ちます。
高画素も高感度も、どちらも「あれば嬉しい」もので、現段階(高画素化により、最もよく使われる
感度域での画質向上がある限り)では、決して「どちらかを否定」をするものではないはずです。
(蛇足ですが、F50fdのISO800も主役の被写体の写りなどを見るとF31fdのISO800より好きです)
自分の希望としては、次は1200万画素のままCCD性能アップで感度を上げた
カメラが出て欲しい所です。
高画素化も高感度化も、両方応援して、楽しく写真を撮るのが一番です。