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名馬3コラム「騎手のペース判断」
  Written by Kitao Nakamura.

競馬ソフト「名馬3」ver1.26で、作者が研究して編み出した、騎手の「オーバーペース敗因率」「スローで後方敗因率」を表示できるようになりました。

オーバーペース敗因率…芝(良稍)の1600m以上レースでの敗戦(人気よりも着順が悪かった)レースのうち「速いペースで飛ばしすぎたことが敗因」と思われる割合を表示します。

スローで後方敗因率…芝(良稍)の1600m以上レースでの敗戦(人気よりも着順が悪かった)レースのうち「スローで後方に溜めすぎたことが敗因」と思われる割合を表示します。

この「敗因率」から、かなり面白い傾向が見えたので、それについて書いてみたいと思います。
まず、結果をまとめた下の表をご覧ください。
 

「オーバーペース敗因率」
「スローで後方敗因率」
騎手名
オーバーペース
敗因率
スローで後方
敗因率
武豊
5.0%
28.7%
柴田善臣
9.8%
25.1%
安藤勝己
6.9%
29.1%
藤田伸二
10.3%
11.7%
横山典弘
8.0%
25.7%
後藤浩輝
8.8%
16.2%
福永祐一
7.6%
19.9%
蛯名正義
6.5%
21.7%
中館英二
24.7%
6.3%
松永幹夫
7.6%
17.2%
四位洋文
8.9%
21.7%
池添謙一
12.0%
17.9%
田中勝春
6.0%
21.1%
武幸四郎
9.9%
15.9%
本田優
13.0%
10.2%
岡部幸雄
6.9%
21.1%
岩田康誠
6.3%
13.6%
佐藤哲三
7.8%
18.7%
江田照男
13.7%
18.6%
大西直宏
6.3%
23.4%
吉田稔
3.4%
15.7%
O.ペリエ
17.1%
29.3%
(ある程度の騎乗数で主な騎手 最近3年の成績
2004年11月10日現在)


「オーバーペース敗因率」が低い騎手に注目すると、多く騎乗しているジョッキーの中では武(豊)が5.0%で1ランク抜け出した低い数値を叩き出しています。それから、安藤勝、蛯名、岡部。いわゆる「うまい」と言われている騎手の名が並びます。

意外だったのは田中勝(すいません)
。大一番でへまをやらかしている印象が強いですが、いい数値が出ています。

それから、レース数が他のジョッキーより少なめですが、それでも愛知の吉田稔の3.4%という数値は群を抜いています。実際のレースぶりもいいですし、来年中央に入ってきたら活躍するジョッキーの一人ではないでしょうか。

「オーバーペース敗因率」が高い騎手に注目すると、もうダントツで個性的なジョッキーが独りいます。その中館は、「スローで後方敗因率」もダントツで低く、とにかく「逃げる」「先行する」というこだわりが感じられます。ただし馬券的には、ペースが速くなりそうなときは敗戦の率が高いので要注意です。

それから、藤田、池添、本田、江田照、ペリエも「オーバーペース」の傾向が強く、攻めるレースをする傾向があります。

「スローで後方敗因率」が低い騎手は、藤田、中館、本田。「オーバーペース敗因率」が高めの騎手と一致します。

藤田は、「オーバーペース敗因率」と「スローで後方敗因率」を足した数値が群を抜いて低く、敗因がペースミスによらず、常にいいペース配分ができているであろうことを示しています。

「スローで後方敗因率」が高い騎手は、武豊、安藤勝、ペリエと、いわゆるトップジョッキーが名を連ねます。トップジョッキーがスローで構えるタイプだから、日本はスローなレースが多いのか。それとも、やはりじっくり構えて乗るほうが結果が出るものなのか。はてまて、じっくり乗ったほうが馬主・調教師の受けがいいということもあるのかもしれません。

エンターテイメントとしての競馬は、スローな流れのレースよりも、「淀みない流れでの力勝負」のほうが面白いと、個人的には思っています。こうして分析してみると、攻めるレースをしながらも上位で結果を出している藤田や中館、池添、本田、江田照あたりを応援したくなります。

と、こんな感じで、各騎手の個性が、数値にも意外なほど現れてきます。
競馬というのは本当に奥が深く、面白いスポーツだなぁと改めて感じました。
 



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